日本針穴写真協会 2018年3月18日(日)例会ご報告


日    時: 2018年3月18日(日)13:30‐16:30
場    所: 神楽坂トワイシア・ヒルサイドレジデンス パーティルーム
出 席 者: 7名(会員3名 理事4名:)  遠藤優、中島正己、水口洋一郎、田所美惠子

今年に入って初めての例会は午後1時半に開始。3時半からは針穴写真展2018のDM掲載作品選考会を開催。会員3名と理事4名の計7名がいつもの会場に集まりました。
前回の例会でEyさんがホースマン6×9を使ったカメラ製作をSaさんに依頼しましたが、出来上がったカメラがこの日SaさんからEyさんに手渡されました。改造カメラの仕様は0.3o径の針穴でf/123ですが、その外観に一同びっくり!前面に取り付けられたシャッターリリース機構は目立つだけでなく、メカニズムを熟知して丹念に工作されていることが分かります。さらに昭和記念公園で試写した風景写真3枚が披露されました。ISO160のネガカラーを使った非常に鮮明で光量落ちの少ないものですが、その理由は針穴を開けるためのポンチを研ぎだすところから始めたという手間暇にあるようです。
そのSaさんのカメラはTaさんが作成したゾーンプレートを取り付けたもの。このゾーンプレートは緑の波長に合わせて作られており、被写体によって焦点距離を微妙に調整する必要があるためヘリコイドを使用しています。試写した大木のカラー写真はゾーンプレート特有のにじみ感があり、歩く人を瞬間でとらえています。Taさんによると、ゾーンプレートの特徴として挙げられるのは@露出時間が短いAハレーションですが、加えて鮮やかな色になるという印象があり、学術的に今後研究される余地があるとのことでした。また、Saさんのモノクロ針穴写真2枚はともに雪景色。広い空地の真ん中にどんと構える大木ですが、逆光をうまく利用した一枚と、深々と降る雪で奥にある景色がかすんで見える風情ある一枚。
Taさんは天文学で使われているゾーンプレートに関する写真を紹介してくれました。巨大なゾーンプレートを取り付けた焦点距離4mのカメラと、撮影された月のクレーターの非常に鮮明な写真です。また、ゾーンプレートの10年後の可能性としてTaさんは立体写真を上げました。すでにある日立の技術Coded aperture Imaging(コーデッド・アパーチャー・イメージング=符号化撮像法)を発展させ、そこにセンサーとソフトを組み合わせて一般ユーザーが使えるようになるかもしれないとのお話でした。
Ogさんは前回針穴を開けるのに使える薬品「銀黒」を紹介してくれましたが、今回はゾーンプレート作成に理想的なベルギー製AGFA社のパンクロコピーフィルム(ISO100)をネットで購入し見せてくれました。現在のプリンタの解像度ではゾーンプレート作成に十分こたえられませんが、将来5000dpiでのプリントが実現すれば可能だそうです。それまではこのコピーフィルムのように特殊なフィルムで製作することが求められます。
今回はデジタル寄りの話題が中心でしたが、銀塩愛好家にとってうれしい情報もありました。今年の会員展は奇しくも「東京8×10組合連合会」の写真展と同時期に江東文化センターで開催されますので、実際に作品を観ながら交流ができることを期待します
次回例会は6月を予定しています。日時は5月上旬にお知らせします。大勢の皆さまのご参加をお待ちしています。(田所)
 
皆様お疲れ様でした。